Pangea Note - パンゲア・ノート

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国内最大ボリュームの自然史系博物館。国立科学博物館

2012.11.26 00:10
カテゴリ:東京都

東京、上野に位置する国内最大級の自然史系博物館。

「地球館」と「日本館」の二つの建物に、大量の標本がぎっしり展示されていて見応えたっぷり。本気で観て回ると丸一日あっても全然足りないほどの規模。

国内最大ボリュームの自然史系博物館。国立科学博物館
 

とにかく規模がでかい! 国内最大級の自然史系博物館

東京、上野公園内に位置する国立科学博物館は、大きく分けて「地球館」と「日本館」の二つの建物にわけて展示がされています。

それぞれ、地球館は地下3階~地上3階の6フロア。日本館は地上3階の3フロア。各フロアに、中規模の博物館と同程度の規模の展示がされているので、本気で観て回ろうと思うと、丸一日程度では全然足りないレベル。しかも展示されている標本も凄いものが多く、見応えがあります。

大まかな展示内容は、以下のような感じ。

もちろんどの展示もとても面白いんだけど、全部を紹介していたらきりがないので、古生物関連の展示を中心に、地球館B1F、B2F、日本館3Fの展示などを紹介していきます。

絶滅哺乳類と海棲爬虫類の全身骨格標本の物量が凄まじい! 地球館地下二階

地球館地下二階『地球環境の変動と生物の進化 -誕生と絶滅の不思議-』の展示では、先カンブリア紀の初期生命の誕生から、人類の登場までの、進化と絶滅の歴史を、豊富な化石資料等で展示しています(※ただし中生代の恐竜だけは、地球館地下一階で展示)。

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特に圧巻なのが、絶滅哺乳類と海棲爬虫類の全身骨格標本が大量に展示されているスペース。これだけの数の絶滅哺乳類の骨格が展示されている博物館は、他に見たことがありません。

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中生代の水棲爬虫類と、新生代の水棲哺乳類を比較する

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中でも個人的に一番好きな展示が『水に戻った四肢動物』と題された展示です。

魚類から両生類を経て陸生に適応するよう進化した、爬虫類と哺乳類。しかし一部の生物は再び体の形が水棲に適応し、中生代には爬虫類の一部が、新生代には哺乳類の一部が、それぞれ別の時代に再び水棲生活に戻ります。

わかりますか? この写真の、通路を挟んで右側が、中生代の水棲爬虫類たち。左側が新生代の絶滅水棲哺乳類たちです。

左右で、生きていた地質年代も、生物としての系統分類としても、大きく離れているけれど、似たような生態と形態をした爬虫類と哺乳類が、比較して観られるように展示されています。爬虫類と哺乳類、どこが似ていて、どこが違うのか。そんなことを意識しながら観ると、とても楽しめる展示だと思います。

 
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特に好きなのは、一番手前に展示されている、大型のモササウルス類(爬虫類)のティロサウルスと、原鯨類(哺乳類)のバシロサウルスの二体。でかくて迫力もあって、どちらもイケメンで言うことなしです。パッと見はかなり似ている二体ですが、細かく見てみると、爬虫類と哺乳類で水棲への適応の仕方が色々違うのがわかって面白いです。特にそれぞれの後肢がどうなっているか見比べてみるとわかりやすいかも。

 

へんてこなゾウたち

改めて考えると、現生のゾウも相当へんてこな生き物なわけですが(なんだよあの自在に動く鼻はw)、そんなへんてこなゾウ的常識で考えても、さらにへんてこなゾウたちが昔は存在していたようです。そんなへんてこなゾウたちのへんてこっぷりが楽しめるのが『重量型の哺乳類』と題された展示。

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これは更新世末(約一万年前くらい?)まで生きていたアンデスマストドン。このあたりはまだ、牙の大きさが凄いとはいえ、結構普通のゾウな感じです。牙は現生のゾウと同じく、上顎から伸びています。

 
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こちらは更新世前期(大体100万年前くらい?)まで生きていたデイノテリウム。上顎には牙は生えておらず、下顎から下向き(むしろ後ろ向き)に牙が伸びています。一体この牙を何に使っていたんでしょうね? そんなことを考えながら観ていると楽しめる展示です。

 
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こちらは中新世後期(大体500万年前くらい?)まで生きていたプラティペロドンの頭骨。上顎にも下顎にも、前方に牙が伸びています。特に下顎の牙はまるで巨大なスプーンかシャベルのよう。この牙を利用して地面を掘って、草の根とかでも食べていたんでしょうかね?

 
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最後は漸新世前期(大体3,000万年前くらい?)まで生きていたメリテリウム。非常に原始的な長鼻類(ゾウの仲間)のなかまです。一見してゾウらしさが全然ないですよねw とは言え、歯の形とか、上下の顎の先の短めの牙の伸び方なんかには、うっすらと面影があります。

 

こんなへんてこな絶滅ゾウたちを「どんな生活をしていたんだろう」と考えながら展示を観ていると、とても楽しめると思います。

原始的な哺乳類の多様性を歯の形から知る

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現在、この地球に存在する哺乳類は大きく分けて、我々ヒトを含む有胎盤類、オーストラリア等に住む袋で子供を育てる有袋類、卵を産むカモノハシやハリモグラなどの単孔類の三種類に分かれます。しかし、いわゆる「恐竜・爬虫類の時代」と言われる中生代の頃には、現生の哺乳類とは系統の違う、多様な原始的な哺乳類が存在していたようです。

そんな原始的な哺乳類や、哺乳類の祖先にあたる生物たちを展示しているのが『哺乳類の起源』『中生代の哺乳類』の展示。

 

特に、中生代の哺乳類がどのように分類されるのかを、歯の形からわかりやすく紹介してくれている展示が非常に興味深いです。

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ほかにも魅力的な絶滅哺乳類がいっぱい

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こちらは史上最大の陸生哺乳類パラケラテリウム。展示のキャプションでは名前が「インドリコテリウム」となっていますが、現在では「パラケラテリウム」が正式な名前の模様。漸新世後期(2,400万年前くらい?)まで生きていたパラケラテリウムは、現生のサイに近縁なヒラコドン科という絶滅グループに属しているそうです。現生のゾウやキリンなんて目じゃない体のでかさはインパクト大。

 
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こちらは、いわゆる「サーベルタイガー」ことスミロドン。個人的に大好きな絶滅哺乳類のひとつです。90°以上開いている顎が凄まじい。ライトアップされて、壁に特徴的な頭骨のシルエットが映る演出もお気に入りです。

他にも、へんてこで魅力的な絶滅哺乳類の骨格が大量に展示されています。国立科学博物館の中でも、毎回時間をかけてじっくり観てしまう展示です。

 

定番の恐竜全身骨格が勢揃い! 地球館地下一階

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地球館地下一階『地球環境の変動と生物の進化 -恐竜の謎を探る-』では、古生物最大の人気コンテンツである恐竜に絞った展示がされています。

有名な定番恐竜の全身骨格を中心に、迫力ある展示です。

 
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定番中の定番、ティラノサウルス。「スタン」と呼ばれている個体で、世界でも有数の保存状態の良い化石を元にした復元骨格です。ティラノサウルスの中でもイケメンであることで恐竜好きの中では有名w

 
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いろんな角竜の頭骨がずらっと並んでいる展示。凄い良い雰囲気で、大好きな展示です。また、その下のトリケラトプスの化石は、世界で最も保存状態が良いと言われている全身骨格の実物化石です。当たり前のように展示されているけど、実はとんでもなく凄い標本。

 
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こちらはデイノニクス。映画『ジュラシック・パーク』で「ラプトル」と呼ばれていた恐竜のベースはこの子です。白い棒で串刺しになっていますが、実は展示の手前のパネルのスイッチを押すと、このデイノニクスは棒を軸にしてゆっくり回転します。デイノニクス自体はメジャーな恐竜なので、色んな博物館で展示を観ることができますが、ここのデイノニクスは回転するおかげで、他では観られない色んな角度から、骨格を観察することができます。

 
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このフロアで(多分)唯一の恐竜以外の標本、プレストクス。ラウイスクス科という分類群に属する三畳紀中期(約2億3,000万年前)の爬虫類で、恐竜よりも現生のワニに比較的近い生き物です。他の博物館では観たことがないので、地味だけど非常にレアな標本だと思います。しかも実物の化石を組み上げた全身骨格。体から脚がどのように関節して伸びているかなんかを、周囲の恐竜の全身骨格と見比べてみると、恐竜と他の爬虫類との違いがわかりやすいかも。

 

日本国内から発掘された古生物が沢山! 日本館三階

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日本館三階『日本列島の生い立ち』の展示では、日本国内で発掘された化石を中心に展示されています。

 
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こちらの展示の目玉は、何と言っても「フタバスズキリュウ」として有名な首長竜フタバサウルス。上の写真の全身復元骨格の下には、産状(化石が産出した状態そのままの形)のレプリカもあり、さらに頭骨や後肢の鰭をはじめ、数点の実物化石も展示されています。

海棲の動物は、何故か一本一本の指を構成する骨がやたらと増える傾向にあるんですが(例外もありますが)、フタバサウルスをはじめとする首長竜も、指の骨がやたらと多いです。

 
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こちらはパレオパラドキシア。束柱類というグループに属する哺乳類で、現在はこのグループの哺乳類は絶滅して全く存在しません。そのため、この束柱類の復元や生態には諸説あるようです。この日本館での展示では地面に立っている状態で復元されていますが、実は先ほど紹介した地球館地下二階にもパレオパラドキシアの全身骨格が展示されています。

 
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これが地球館の方のパレオパラドキシア。こっちのパレオパラドキシアは、水中で泳いでいるような姿勢で復元されています。パレオパラドキシアは、世界中でも日本での産出例が多く、日本を代表する絶滅哺乳類として、多くの博物館で展示されていますが、二体も全身骨格を展示している例はあまりありません。二体の姿勢を見比べながら、この謎の多い哺乳類がどんな生活をしていたのか考えてみるのも面白いんじゃないかな、と思います。

 

他にも紹介したい展示が大量にあるんですが、今回はとりあえずこのくらいで。古脊椎動物中心の紹介になりましたが、現生生物の標本も魅力的なものが大量にあるし、宇宙・天文系の展示や、物理学系の展示にも面白いものが沢山あります。何度も足を運びたくなる、超ボリュームの博物館です。

アクセス

JR上野駅を公園口から出て、徒歩5分程度。
公園口以外の出口から出ると、かなり遠回りをしないといけなくなるので注意。

上野駅へは東京駅から10分程度。

その他

コインロッカーあり。

食事は、地球館中二階のレストラン「ムーセイオン」(結構メニュー豊富)や、日本館地下一階のラウンジ内のカフェ(軽食)など。
上野公園近辺や上野駅近辺にも食事のできる場所はいくらでもあるので、困ることはない。

公式情報

公式サイト
http://www.kahaku.go.jp/
住所
〒110-8718
東京都台東区上野公園7-20
TEL
03-5777-8600
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