博物館と美術館を併設した複合施設
沖縄県那覇市にある沖縄県立博物館・美術館は、南西諸島の歴史や文化、自然史の総合的な展示の博物館と、美術館が併設された複合施設です。2007年に移転・リニューアルされた新しい建物が綺麗。
美術館の方は見学していないので、博物館の展示について紹介していきます。写真撮影は自然史部門展示など一部の展示のみOKだったので、自然史展示中心に。沖縄の歴史や文化、民俗系の展示も非常に面白いんですけどね。
やはり沖縄ということで、化石種も現生種も、九州以北にはいない固有種の生物が非常に多いので、展示が面白かったです。
見学したのが今(2015年10月)から一年半以上前なので、参考程度にどうぞ。
固有種いっぱいの沖縄の化石たち
まずは古生物系の展示から。
ヤンバルクイナやミヤコムカシネズミ、ハブなど、沖縄ならではの生物の化石が沢山展示されています。この、骨格復元図の上に見つかっている化石を並べる展示方法は、どの部位が産出しているのかが一目でわかって凄く良いですね。
沢山展示されているミヤコノロジカの化石。宮古諸島からしか見つかっていない種だそうです。ツノのイボイボが特徴的。
リュウキュウムカシキョンの化石も沢山。キョンはシカのなかまなのに鋭い犬歯が生えている変な動物。
リュウキュウムカシキョン(左)と、リュウキュウジカ(右)の全身骨格も。前述のミヤコノロジカの全身骨格は、撮影不可の場所に展示されていました。残念。
南西諸島固有種ではないですが、束柱類デスモスチルスの歯(左)や、ゴンフォテリウムやマンモスの臼歯(右)なども。
現生生物の展示も沖縄固有種がいっぱい
南西諸島に生息する現生生物も、剥製などをはじめ、様々な標本が展示されていましたが、やはり固有種が沢山いて見ていて非常に面白い。
超メジャーどころの哺乳類、イリオモテヤマネコとアマミノクロウサギ。
奄美・沖縄諸島に分布するヘビ、アカマタ。ウミガメの孵化の時期を狙って幼体を捕食するそうで、その再現模型。恒常的にカメを狙って捕食するヘビというのは非常に珍しいようです。
こちらはアイフィンガーガエルの模型。木の洞などに産卵し、母親は孵化したオタマジャクシに、自分の生んだ無精卵を餌として与えて育てるという珍しい習性を持っているとのこと。石垣島、西表島、台湾に生息し、日本では唯一の子育てをするカエルだとか。世界的に見ても、子供に餌を与えるカエルは5,000種以上いるカエルの中で10種に満たないとか。
ヤンバルクイナ(左)とシロハラクイナ(右)の剥製と骨格標本。シロハラクイナは沖縄の固有種ではないですが、飛べないヤンバルクイナと、飛べるシロハラクイナの近縁な鳥同士のわかりやすい比較展示。
赤い矢印で示されているのが、羽ばたくための筋肉が付着する胸骨の突起部分(竜骨突起)。飛べないヤンバルクイナ(左)は、シロハラクイナ(右)に比べて、竜骨突起が退化しているのがわかります。
昆虫標本もいろいろ展示されていますが、有名なところでヤンバルテナガコガネ。沖縄本島のみに生息する絶滅危惧種。
昆虫絡みでは、社会性動物好きとして見逃せないのが、オオシロアリタケの模型。タイワンシロアリが自分の巣の中でこのキノコを栽培し、食料にしています。いわば農業をするシロアリ。キノコ下部の灰色っぽい塊が、シロアリが餌にする「菌園」。キノコは巣から伸びて地上に頭を出すそうです。しかもこのオオシロアリタケ、人間が食べても美味しくて、高級食材なんだとか。食べてみたい......。
その他にも、映像資料なども充実していて、自然史部門展示だけでもかなり見応えがありました。映像資料の一つに「冬眠したカエルは暖かくなる二月ごろから活動を始めます」みたいな解説があって「さすが、季節の感覚が全然違う......」と実感したのが印象的でした。
公式情報
- 公式サイト
- http://www.museums.pref.okinawa.jp/index.jsp
- 住所
- 〒900-0006
沖縄県那覇市おもろまち3-1-1 - TEL
- 098-941-8200
アクセス
ゆいレール「おもろまち」駅下車、徒歩10分弱。
その他
コインロッカーあり。
館内にカフェあり。周辺にも飲食店は色々あったと思う。
博物館は再入場可(美術館はわからないです)。
写真撮影は、特定の展示のみ可。要確認。