化石も剥製も骨格も昆虫標本も、とにかく大ボリュームの博物館
神奈川県小田原市に位置する、神奈川県立生命の星・地球博物館は、古生物から現生生物まで、化石や骨格標本、剥製、昆虫標本など、ボリュームたっぷりの博物館です。各標本の展示の仕方も凝っていて、見ていて非常に楽しいのもポイント。
非常に広大な建物の一階と三階がメインの展示室となっていて、以下のようなテーマで展示されています。
- 地球を考える
- 生命を考える
- 神奈川の自然を考える
- 自然との共生を考える
- ジャンボブック展示室
見どころは沢山ありますが、とりあえず今回は古生物関連の展示を中心に「生命を考える」と「ジャンボブック展示室」あたりをメインで紹介しようと思います。
エントランスには、いきなり巨大なチンタオサウルスの全身骨格が
博物館のエントランスを入ると、いきなりどでかい鳥脚類恐竜チンタオサウルスの全身骨格がお出迎え。頭の上の角?トサカ?が特徴的な恐竜です。
この標本の復元姿勢はちょっと古いのかな、という印象はあるけど、チンタオサウルスはそこそこ有名な恐竜の割には、常設展示されている博物館はあんまりない気がします。しかも、エントランスに展示されているので、入場料を払わなくてもじっくり観られるというw(いや、入れよ)
他にもエントランスには、翼竜アンハングエラや、白亜紀の巨大硬骨魚シファクティヌスの全身骨格などか展示されていて、このエントランスだけでもかなりテンションが上がります。
「地球を考える」~「生命を考える」展示ホールの様々な古生物標本たち
「地球を考える」~「生命を考える」の展示ホールには、古生物から現生生物まで、さまざまな標本が展示されています。その中から、いくつか気になった古生物標本をピックアップしてご紹介したいと思います。
でかい壁一面にアンモナイトの化石が散在する「アンモナイトの壁」。
大きさが大きさだけに、凄い迫力。
凄まじく綺麗なプテラノドンの化石。実物かな?
プテラノドンは、化石を元に復元した全身骨格は時々見かけますが、ここまで綺麗な化石はなかなか見られない気がします。プテラノドンの大きさもイメージしやすくて良い。
巨大な竜脚類ディプロドクス。竜脚類の中でもかなりのメジャーどころですが、この広いホールで眺めると迫力があって良いです。足元から見上げることも、三階から見下ろすこともできるのもポイントが高い。
Diplodocus 属には何種かが確認されていますが、中でも一番有名なのが、ここでも展示されている Diplodocus carnegii かと思います。アメリカの実業家アンドリュー・カーネギーさんが資金援助して発見された恐竜。なので種小名が carnegii なんですね。レプリカの作成にも資金援助されたため、ディプロドクスの中でも特にレプリカが多く、色んな博物館に展示されているのだとかなんとか聞いたことがあります。
ちょっとマニアックなところでは、オーストラリア産の絶滅鳥類ドロモルニス。ダチョウやエミューなどの走鳥類とする説や、カモとかに近いとする説(今はこっちが主流?)なんかがあるみたいです。
すぐ横に展示されているダチョウの剥製と見比べてみると、体の大きさに対して、ドロモルニスの方が頭が大きいですね。クチバシの形もかなり違う気がします。
ドロモルニスは、今まで他の博物館では見たことがない気がするので、結構レアなのかもしれません。
他にも、ティラノサウルスやエドモントサウルスをはじめとする定番恐竜や、魚竜やモササウルス類などの海棲爬虫類、複数種の長鼻類(ゾウ)など、派手な古生物標本が沢山あって見どころたっぷりです。
古生物だけでなく、現生生物も、剥製・骨格標本、昆虫標本などが沢山展示されています。こちらも見どころたっぷり。
メッセル産の美麗な化石が大量に並ぶ「ジャンボブック展示室」
展示室全体を、巨大な百科事典を模してデザインされた「ジャンボブック展示室」。この展示コンセプト自体が洒落てて良いですね。様々なテーマに沿って、巨大な本のページに模した展示が30種近く並んでいます。
各テーマ、どれも面白いんですが、古生物好きとしては一番気になるのはやはり、メッセル産化石群を集めた展示。
ドイツのフランクフルト郊外にある、メッセル採掘場というところから採れた化石を特集しているわけですが、このメッセルというのは、非常に綺麗な化石が採れることで世界的に有名な化石産地の一つ。主に始新世(約5,500万年前~約3,800万年前くらい)の生物の化石が採れるようです。
左上から順に、メッセロルニス(鳥)、スッポンのなかま、ヘビのなかま、コビドドン(樹上性?の小型哺乳類)、ディプロキノドン(ワニ)、パレオキロプテリクス(コウモリ)。凄まじい保存状態の良さが一目でわかるかと思います。
余談ですが、去年は、メッセルで、交尾中と思われるカメの化石が発見された、なんていうニュースもありましたね。
「ジャンボブック展示室」では、他にも魅力あふれる展示がいろいろなされています。哺乳類の頭骨を取り上げた展示や、「歯」をピックアップした展示なんかが、特に目を惹きました。
なお、「ジャンボブック展示室」は展示の一番最後にあたるわけですが、ここだけでも結構なボリュームがあるので、博物館見学時の時間配分をミスっちゃうと、ここの展示を泣く泣くほぼ素通りせざるを得ない、なんてことにもなり兼ねないのでご注意をw
この「ジャンボブック展示室」が特に顕著ですが、他の展示ゾーンも含めて、全体として非常に「見せ方」へのこだわりが見られる博物館だな、という印象です。貝や昆虫の標本なんかでも、綺麗に整列させるのではなく、標本箱の中でなんかちょっとかわいく並べてみたりしているところに、細かいこだわりが見られたりして楽しいです。
非常に大ボリュームの博物館で、一度に全て紹介するのはちょっと厳しいものがあるので、また別の機会に書ければなと思います。
アクセス
箱根登山鉄道「入生田」駅下車、徒歩5分程度。
入生田駅へは、JR新宿駅から湘南新宿ライン特別快速で1時間15分程度、小田原駅で乗り換え。小田原駅から箱根湯本方面へ10分程度。
JR横浜駅からは1時間ほどで小田原駅へ。後は同上。
その他
コインロッカーあり。
館内1階にともしび喫茶「あーす」、3階にレストラン「フォーレ」があり、食事がとれる(3階のレストランの方がおすすめ)。博物館周辺にはあまり飲食店はない感じ。
公式情報
- 公式サイト
- http://nh.kanagawa-museum.jp/
- 住所
- 〒250-0031
神奈川県小田原市入生田499 - TEL
- 0465-21-1515