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世界一イケメンなティラノが待っている特別展『ティラノサウルス-肉食恐竜の世界-』

2012.11.28 20:22
カテゴリ:特別展・企画展・イベントレポート

千葉市の千葉県立中央博物館で2012年10月20日(土)~12月24日(月・祝)に渡って開催されている特別展。

有名なティラノサウルス標本「スタン」の新復元「パーフェクト・スタン」の展示をメインに、獣脚類恐竜の標本を多数陳列し、多様な獣脚類が一覧できる展示になっている。

世界一イケメンなティラノが待っている特別展『ティラノサウルス-肉食恐竜の世界-』
 

獣脚類(肉食恐竜)勢ぞろい!

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現在、千葉県立中央博物館で開催中の特別展『ティラノサウルス-肉食恐竜の世界-』に行ってきました。

有名なティラノサウルス標本「スタン」の新復元「パーフェクト・スタン」を目玉に据えて、多用な獣脚類恐竜の標本が展示されている、楽しい展示でした。

キャプションも非常に丁寧で、随所に解説マンガも取り入れながら、非常にわかりやすい説明で良かったです。

展示概要は以下のような感じ。

 
  1. 肉食恐竜の基本
  2. 原始的な肉食恐竜
  3. 巨大化する肉食恐竜
  4. 小型化と羽毛の獲得
  5. ティラノサウルスの仲間
  6. スピードを極めた恐竜
  7. 巣を守り卵を抱く恐竜
  8. 鳥と間違われた恐竜
  9. 鳥に近づいた恐竜
  10. 鳥類の登場

各テーマごとに、有名な標本からあまり観る機会のないレアな標本まで、丁寧なキャプションによる解説とともにじっくり楽しめる展示です。

博物館に入るといきなりカルノタウルスがお出迎え

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博物館に入ると、特別展の会場に入るより前に、カルノタウルスの全身骨格が待ち構えています。

カルノタウルスは白亜紀後期(8,000万~7,000万年前くらい?)のアルゼンチンに生きていた、ケラトサウルス類というグループに属する獣脚類恐竜。

ティラノサウルスも前肢が小さいことで有名ですが、このカルノタウルスはさらに小さくて、そのアンバランスさがなんか可愛い。どちらも前肢が小さいのは一緒ですが、指の数が違うので、後ででてくる「パーフェクト・スタン」と見比べてみると良いかも。

また、頭部に生えている二本の角状の突起がトレードマーク。この角が、どういう用途に使われていたんでしょうね。現生生物を見ると、基本的に「角」っていうのは植物食動物の武器なんですよね。「角を持つ肉食動物」というのはあまり思い浮かばないので、ちょっと不思議な感じです(※軽く調べてみたところ、昆虫食のカメレオンやトカゲなどに一部、角を持つ種がいるみたい)。

 

ただでさえイケメンのスタンが新復元という翼を得て超イケメンに(ry

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さて、今回の特別展の目玉、ティラノサウルスの「スタン」の新復元「パーフェクト・スタン」です。いいですね、このストレートな中二風ネーミングw こういうノリは好きですw

もともとこのティラノサウルスの「スタン」は、国立科学博物館などでも常設展示されている、有名な標本なのですが、今回の特別展では、最近の新発見や研究成果に基づいて、今までの復元骨格にはなかった、幾つかの新発見部位が追加され、躍動感のある姿勢で復元されています。

この低い姿勢で襲いかかろうとしている様子は、単純に迫力があってかっこいいです。

 
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新たに追加された「新発見部位」その1、又骨。

両肩を繋ぐ部分にくっついているV字型の骨が又骨です。

ご覧の通り、体の大きさに比べて非常に小さく薄い骨なのでなかなか化石に残りにくく、以前は「鳥にはあるけど恐竜にはない骨」とされていたそうです。現在では「鳥類は恐竜の子孫」というのがごく当たり前の定説になっていますが、その説を大きく裏付ける証拠となったのが、恐竜化石からのこの又骨の発見だったとか。

 
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新たに追加された「新発見部位」その2、前肢の三本目の指。

「ティラノサウルスは小さな前肢に二本の指」というのが常識だったのですが、三本目の小さな指が新たに発見されたのだとか。

この復元を見る限り、三本目の指は、他の二本の指と比べると、極端に小さいですね。この三本目の指が、果たして実際に指として機能していたのか、それとも痕跡器官として骨に残っているだけで、皮膚に埋もれて何の用途もなかったのか。個人的にはこの大きさだと後者なのかなあ、とか思ったりしますが、どうでしょうね?

 
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新たに追加された「新発見部位」その3、腹肋骨(ガストラリア)。

背骨から繋がっている肋骨とは別に、お腹側を支える骨があったことが、最近わかったそうです。最近の展示ではこの腹肋骨のついたティラノサウルスやタルボサウルスをよく見ます。

この骨が復元されているか否かで、一見して全身骨格のイメージが結構変わるんですよね。ちょっとお腹側がふっくらしてるように見える。

腹肋骨は、恐竜以外にも、ワニや首長竜など、一部の爬虫類に見られる骨だそうです。

 

さらにもう一体、大型の全身骨格

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「パーフェクト・スタン」と向き合うように展示されているのが、西アフリカ・ニジェール産の獣脚類アフロベナトルの全身骨格。

アフロベナトルはメガロサウルス科に属するとか、スピノサウルス科に属するとか諸説あるようですが、どちらにしてもティラノサウルスとは結構離れたグループになります。

スリムな体型や、横幅の薄い頭骨。大きめの前肢と、そこから伸びる長い三本の爪など、向かいのティラノサウルスと比べると、非常にわかりやすい差異が沢山見つかると思います。

 

他にも面白い獣脚類標本が盛り沢山

とりあえず、派手な全身骨格標本を中心に紹介してきましたが、他にも面白い標本が沢山展示されています。

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アリオラムスという、白亜紀後期のティラノサウルス科の獣脚類の頭骨。産状(化石が発掘された状態)と、復元骨格の両方が展示されています。

この標本の見所は、「強膜輪」と呼ばれる、眼球を固定するための骨が化石として残っていることです。

復元骨格の方を見ると、どこに強膜輪があるのかわかりやすいと思います。その後で産状の方を見れば、どういう状態で強膜輪が残っていたのかがわかるかと。

強膜輪は、恐竜の他には、鳥類や翼竜、モササウルス類などの一部の爬虫類が持っているそうで、この強膜輪の内径の比率などを調べることによって、その生物が夜行性だったかどうかなどが推測できるようです。

 
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「格闘化石」の名前で有名な、ヴェロキラプトルとプロトケラトプスが、格闘しているかのような姿勢のまま、化石になっているという奇跡のような標本。

実際に彼ら(彼女ら?)が、戦っている最中に何かが起きて砂に埋もれてしまったのか、それともたまたま重なり合うようにして時を置かずに息を引き取ったのか、詳細は想像することしかできませんが、この生々しさは何度観ても息を呑むものがあります。

モンゴルのゴビ砂漠で見つかった化石なのですが、実物化石は国宝級の代物だとか。そりゃそうだ。

 
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個人的に大好きな羽毛恐竜のひとつ、ミクロラプトルの化石。

化石に羽毛の痕跡を残した恐竜は、多数発見されていますが、このミクロラプトルは、前肢だけでなく後肢にも羽根が生えていたということで有名です。

実際、化石を見ると前肢の周辺と、後肢の周辺に、羽毛の痕跡が見てとれます。

かなり小型の恐竜で、樹上生活をしていたんじゃないかという説もありますが、前肢と後肢、四枚の羽根を使って木々の間を滑空していたりしたのか。妄想は絶えません。

 
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スキピオニクス。イタリアで見つかった恐竜で、この幼体らしき化石だけが見つかっているそうです。

この標本の見所は、お腹やお尻のあたりに、筋肉や内臓の組織と思しき痕跡が残されていること。写真の赤い三角で示された部分が、その痕跡部分になります。

そもそも生物が死んで堆積物に埋もれて長い長い時間が経過して骨が化石化し、それが再び人間に発掘されるという確率自体が、とんでもない奇跡のようなものなのに、骨だけでなく柔らかい組織の部分まで化石化し、それが発掘されるなんていうのは、もうとんでもなくとんでもないことです。ほんと凄いの一言。

 
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卵を抱くシチパチの化石。

恐竜が、鳥のように巣を作って、卵を暖めたりしていたらしいということが窺える、これまた凄い化石です。

両腕で、卵を抱くような姿勢のまま化石化しているのが容易に見てとれるかと思います。

 

恐竜の子孫、恐鳥類

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鳥類が恐竜の子孫だという話は先ほども書きましたが、羽を得て空へと生活の場を移した鳥類たちの中で、先祖である恐竜が絶滅した後、再び地上生活に戻って、まるで先祖である獣脚類恐竜に戻ったかのように巨大な体で獲物を捕食したと思われる鳥類が現れました。鳥類の中の複数のグループが含まれている可能性もありますが、それらの鳥は「恐鳥類」とまとめて呼ばれたりしています。

この写真は、恐鳥類の中でも特にメジャーなガストルニス、あるいはディアトリマという名の鳥です。

体の大きさに比べて、かなり巨大な頭部が、ちょっとティラノサウルスを彷彿とさせます。

ガストルニス(ディアトリマ)は暁新世~始新世(5,600万年~4,000万年前くらい)に、当時の哺乳類などを捕食していたのではないかと考えられていますが、一方で植物食だったかもしれないという説もあるようで、その生態ははっきりしません。

 

まだまだ紹介したい標本は色々ありますが、きりがないのでとりあえずこのくらいで。

展示場自体はそれほど広くはないですが、その中に目いっぱい多様な標本を詰め込んで、できる限りわかりやすくその魅力を伝えよう、という姿勢がひしひしと伝わってくるとっても良い展示でした。

アクセス

JR千葉駅からバスに乗り約15分、「中央博物館」バス停下車徒歩7分程度。

もっと近い「博物館・文化ホール」バス停もあるけど、こちらに止まるバスは極端に少ないようので注意。

JR千葉駅までは東京駅や秋葉原駅から総武線で一時間弱。

その他

コインロッカーあり。

食事は、博物館と同じ建物に軽食のとれるお店がある。周辺には飲食店はなさそう。

公式情報

公式サイト
http://www2.chiba-muse.or.jp/index.php?page_id=747
住所
〒260-8682
千葉県千葉市中央区青葉町955-2
TEL
043-265-3111
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