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特別展『恐竜の大移動』はティラノサウルス類と角竜類の繁栄と進化の歴史が凄くわかりやすくて良かった。

2016.09.19 01:03
カテゴリ:特別展・企画展・イベントレポート

福井県立恐竜博物館で2016年7月8日~10月10日にかけて開催中の特別展。

ティラノサウルス類と角竜類の、アジアと北米間の往来と進化の歴史を丁寧に解説した展示。

特別展『恐竜の大移動』はティラノサウルス類と角竜類の繁栄と進化の歴史が凄くわかりやすくて良かった。
 

恐竜界の二大スターの進化の歴史を描いた特別展

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福井県立恐竜博物館で開催中の特別展『恐竜の大移動』を見てきました。

恐竜界の二大スター、ティラノサウルスとトリケラトプスのなかまの、アジアと北米間の往来と進化の歴史にスポットを当てた、テーマ性のはっきりした非常に解りやすい展示で良かったです。

三畳紀から始まり、ジュラ紀、白亜紀前期・後期と、ティラノサウルス類と角竜類がどのように分布を広げ、進化していったのかが丁寧に解説されていましたよ。

 

三畳紀の北アメリカ

まずは三畳紀の北アメリカの展示。

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三畳紀の北米にいた初期の獣脚類コエロフィシスの化石がたくさん。

この頃はまだティラノサウルス類も角竜類もいないので、展示テーマ的にはあっさりめです。とは言え、恐竜じゃない爬虫類の展示が凄く良かった。

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レドンダサウルスの全身骨格。見た目ワニっぽいですが、ワニとは全然違うグループのフィトサウルス類という爬虫類のなかま。ワニそっくりなのは今のワニと似たような生態をしているための収斂進化。

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鏡越しに頭頂部が見られるように展示されていますが、現生のワニとは違ってこのフィトサウルス類は鼻孔が頭の凄く上の方、眼窩のすぐ下あたりに開いているのがわかります(ワニは吻部の先端近くに鼻孔がある)。鼻孔が口先の方ではなく頭の上の方に開いているというのは、水中生活に特化した哺乳類であるクジラ類なんかにも見られますね。そういう意味ではこのフィトサウルス類は相当水中生活に適応した爬虫類だったんでしょうか。

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同じくフィトサウルス類のマカエロプロソプスの頭骨。この二つは同じマカエロプロソプス属の別の種ということでそれぞれ違う種小名がついていますが、もしかしたら同種の雌雄の違いである可能性もあるそうです。こちらもレドンダサウルスと同様に鼻孔が頭部のかなり上の方に開いてます。

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こちらはアエトサウルス類というまた別のグループの爬虫類ティポトラクス。腹部を上に向けて仰向け状態になっている化石。全身が装甲に覆われているのが見てとれます。以前特別展『発掘!モンゴル恐竜化石展』で、同じように仰向け状態で化石になっているピナコサウルスが展示されていましたが、こういう装甲分厚い系の爬虫類は仰向けで化石化しやすかったりするんでしょうかね。

ジュラ紀のアジア

続いてジュラ紀のアジアの展示。ここからいよいよ本格的にティラノサウルス類と角竜類の進化というメインテーマにがっつり突入。

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ティラノサウルス上科に含まれるグアンロン。この特別展ではティラノサウルス上科に含まれる恐竜を「ティラノサウルス類」として扱ってるようです。

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こちらは今見つかってる中で世界最古級の角竜類インロン。グアンロンもインロンもこんな状態の良い実物化石が見られるなんてすごい。

白亜紀前期のアジア

続いて白亜紀前期のアジアの展示。まずは角竜類から。

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プシッタコサウルス。どちらも実物化石。左の化石がめちゃくちゃ綺麗。

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アウロラケラトプス。プシッタコサウルスより少し派生的な角竜類。これもどちらも実物化石。

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アクイロプス。これはアジアじゃなくて北米から産出した角竜。白亜紀前期の角竜は今のところ北米からはこのアクイロプスしか見つかってないそうです。このアクイロプスの発見によって、アジアから北米への角竜類の到達が今まで考えられていたよりもだいぶ早かったことになるそうな。

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一方のティラノサウルス類のディロング。細長い頭骨がかわいい。

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そして「羽毛の生えた大型ティラノサウルス類」として2012年に鮮烈デビューを果たされたユウティラヌスさんの復元骨格。

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ユウティラヌスの産状レプリカ。2012年の幕張の恐竜展の時より見やすくて良いですね。

白亜紀後期の北米

そしていよいよ白亜紀後期の北米。

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トリケラトプスをはじめ、大型化、頭部の装飾の多様化を果たした様々な角竜の頭骨たち。

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ペンタケラトプスの頭骨の実物化石も。

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ティラノサウルス類からは、ビスタヒエヴェルソル(左)とティラノサウルス(右)の頭骨。ビスタヒエヴェルソルって名前覚えられる気がしない......。

白亜紀後期のアジア

一方その頃アジアでは。

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タルボサウルスの頭骨(左)と、ズケンティラヌスの顎の実物化石(右)。ティラノサウルス類は、北米とアジアでともに大型化し、似たような種(特にティラノとタルボなんてそっくり)が繁栄したんですねー。アジアから北米に渡ったティラノサウルス類が大型化して再びアジアにも生息範囲を広げていった感じのようです。

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角竜類の方は、プロトケラトプス(左)やモザイケラトプス(右)など。どちらも実物化石。モザイケラトプスは、派生的な角竜類の特徴と、基盤的なプシッタコサウルス類の特徴を両方持っているそうな。

ティラノサウルス類とは対照的に、角竜類は、北米では大型化して頭部の装飾は派手になった反面、アジアでは比較的小型で角とかの生えていない種がそのまま主流だったようです。面白いね。

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そんな中、アジアの角竜類としては珍しい、大型で角の生えた角竜がこちらのシノケラトプスさん。北米で大型化した角竜類も全くアジアに渡ってこなかったわけではないようです。

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シノケラトプスの頭骨の復元レプリカもありました。

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会場出口ではトリケラトプスとゴルゴサウルスの全身骨格がお見送り。

公式情報

公式サイト
https://www.dinosaur.pref.fukui.jp/special/dinomigration/
住所
〒911-8601
福井県勝山市村岡町寺尾51-11 かつやま恐竜の森内
TEL
0779-88-0001

アクセス

えちぜん鉄道勝山駅から、コミュニティバスで15分程度。「恐竜博物館」バス停下車、目の前。

勝山駅までは、福井駅から、えちぜん鉄道で1時間程度。

その他

コインロッカーあり。

食事は博物館3階のレストラン「Dino」でとれる。ソースかつ丼とかボルガライスとか、福井の名物料理なんかもある。

再入場可。

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