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特別展『海のハンター展』は古生物から現生生物まで充実した「海棲脊椎動物図鑑」みたいな展示だった。

2016.09.17 01:32
カテゴリ:特別展・企画展・イベントレポート

国立科学博物館で2016年7月8日~10月2日にかけて開催中の特別展。

海に住む脊椎動物の捕食をテーマに、古生代の生物から現生生物まで多様な標本を展示している。

特別展『海のハンター展』は古生物から現生生物まで充実した「海棲脊椎動物図鑑」みたいな展示だった。
 

海棲脊椎動物の「捕食」をテーマにした特別展

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国立科学博物館で開催中の特別展『海のハンター展』に行ってきました。

海棲脊椎動物の「捕食」をテーマに、古生代の生物から、現生の生物まで、海に住む多様な脊椎動物の標本が展示されていてボリュームたっぷりでした。

 

古生代の海のハンターたち

まずは古生代の展示。

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左は翼甲類のドレパナスピス。現生のヤツメウナギ類やヌタウナギ類と同じ顎の無い無顎類って言われてたけど、系統的にちょっと違うみたいですね。顎のある脊椎動物のグループ顎口類に近いらしいです。

右は軟骨魚類のクラドセラケ。サメやエイの祖先グループ。

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こちらは現生ですが、無顎類のミツバヤツメの口の拡大模型。こわい。

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板皮魚類ダンクルオステウスの頭骨。普段は常設展に展示されてますが、こちらに出張してきてるようです。

中生代の海のハンターたち

続いて中生代。

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首長竜タラソメドンの全身骨格と、魚類ショニサウルスの頭骨復元レプリカが存在感を放ってます。というかショニサウルスでかすぎる。

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国産首長竜フタバスズキリュウことフタバサウルスの実物化石も。

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魚類化石もいろいろありましたが、特にこの化石が凄かった。カラモレプレウルスという魚が、少し小型のクラドキクルスを丸呑みにしたところ、クラドキクルスにお腹を食い破られてる、という状態の化石らしいです。

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左はカラモレプレウルスの口の部分。丸呑みしたクラドキクルスの尻尾部分が口からはみ出してるのが見えます。

右はカラモレプレウルスの腹の部分。クラドキクルスが腹を食い破って頭を出してるのが見えます。

こんな状態で化石になるとかすげえな。まあ、状況的にそう見えるけど、実際のところはどうなのかわかんないですけどね。

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魚類化石でもうひとつ印象的だったのがこちらのスクレロリンクスの化石。エイのなかまで、現生のノコギリエイのようなノコギリ状の吻部があります。右の写真はノコギリ部分の拡大。ノコギリの「刃」までしっかり残ってますね。白亜紀にはもうこういうノコギリエイ的な形状の魚が普通にいたんですねー。

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翼竜ケアラダクティルスの化石も。翼竜なので海じゃなくて空の生き物ですが、ワニなんかの魚食性の動物に似た顎と歯の形状からも、空から海の魚を狩っていたんだろう、ということで「海のハンター」扱いなんでしょう。

新生代の海のハンターたち

続いて新生代の化石展示。

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新生代の古生物で海のハンターと言えばやっぱメガロドン。どの属に分類されるのかがはっきりしないメガロドンですが、本展示ではカルカロドン属(現生のホホジロザメと同じ)ということになっているようです。

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新生代の化石展示で一番印象的だったのはこちら。ペンギン科の化石鳥類スフェニスカス。

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全身骨格の復元も。現生のペンギンと比べると、だいぶ体全体のバランスからみて頭部が大きいらしいです。

 

現生の海棲哺乳類のホネも

古生物の展示が終わると、現生の海のハンターたちの展示へ。海棲哺乳類のホネが色々展示されていました。

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セイウチ(左)とミナミゾウアザラシ(右)の頭骨。

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イッカクのコッカク。イッカクの一本ヅノのようなアレは角ではなくめっちゃ伸びた歯なんですが、上顎の左の歯だけが伸びるというのが不思議。右の写真は頭部のアップ。左側だけから上顎を突き抜けて歯が伸びているのがわかるかと思います。ちなみに歯が伸びるのは基本的にオスだけだそうです。

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シャチの骨格も。かっこいい。

現生のサメの標本がめっちゃいっぱい

「サメラボ」という展示コーナーでは、現生のサメの標本がめっちゃいっぱい展示されています。

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そして本展示の目玉。

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ホホジロザメの液浸標本。でかい。

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こわい。

変わった捕食方法を取るハンターたちの展示

「海のハンターたちのテクニック」の展示では、ユニークな捕食方法を取る生き物たちの展示が。

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ノコギリ状の吻部を振り回して獲物を攻撃するノコギリエイ(左)と、長い尾を獲物に叩きつけて攻撃するニタリ(右)。ニタリが獲物を尾で攻撃する映像は、以前、大阪の海遊館でやっていた特別展『シャークワールド』で公開されていましたが、凄いスピードでした。

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水中で羽ばたいて飛ぶように泳いで狩りをする、ウミスズメのなかまウトウ(左)と、長い吻部で吸い込むようにして獲物を捕食するアカヤガラ(右)。

ほかにも大量に海棲脊椎動物の標本が展示されていて、さながら「海棲脊椎動物図鑑」的な展示で楽しかったです。

公式情報

公式サイト
http://umi.exhn.jp/
住所
〒110-8718
東京都台東区上野公園7-20
TEL
03-5777-8600

アクセス

JR上野駅を公園口から出て、徒歩5分程度。
公園口以外の出口から出ると、かなり遠回りをしないといけなくなるので注意。

上野駅へは東京駅から10分程度。

その他

コインロッカーあり。

食事は、地球館中二階のレストラン「ムーセイオン」(結構メニュー豊富)や、日本館地下一階のラウンジ内のカフェ(軽食)など。
上野公園近辺や上野駅近辺にも食事のできる場所はいくらでもあるので、困ることはない。

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