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深海生物のプラスティック封入標本がアツい! 特別展『深海たんけん!』

2013.08.29 03:52
カテゴリ:特別展・企画展・イベントレポート

愛知県名古屋市の名古屋市科学館で2013年7月20日(土)~9月1日(日)に渡って開催されている特別展。

現生から化石種まで、様々な深海生物の標本や生体が展示されている。

深海生物のプラスティック封入標本がアツい! 特別展『深海たんけん!』
 

深海をテーマにした特別展

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愛知県名古屋市の名古屋市科学館で開催中の特別展『深海たんけん!』に行ってきました。今年は深海ブームで、全国各地で深海展が開催されていますが、こちらの深海展も非常に面白かったですよ。

現生生物から化石まで、様々な深海生物の標本が展示されていました。また生体も展示されていたのが良かったです。

愛知県の海に生息している(いた)深海生物を取り上げるなど、地域色を出しつつ、定番の深海底の熱水噴出孔における化学合成生態系の展示などもしっかりおさえていて、楽しい展示でした。

 

深海生物の生体展示がアツい

深海生物の液浸標本や剥製標本も沢山展示されていますが、この特別展では生体が展示されていたのが良かったポイントのひとつ。

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深海生物のアイドル、オオグソクムシちゃん。かわいい。

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ウミグモ。標本ではなく生体を観たのはもしかしたら初めてかも? こんな名前ですが、別にクモの仲間ではなく、ウミグモ綱という独立した綱に属する節足動物。四対八本の足がクモと同じなのでこういう名前になったんでしょうね。標本ではなく動いている姿を見られたのが嬉しかったです。

愛知県の地域色を出した展示も

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こちらは、愛知県の三河湾沿岸の市場で買える深海生物の展示。

三河湾は浅くて冬場は海底まで冷えてしまって魚が活動しないため、漁師さんたちは太平洋沖まで出て行って漁をするんだとか。そこで獲れた深海生物が、三河湾沿岸の市場に並ぶことになるそうです。

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こちらは愛知県で産出した深海生物の化石。全国の博物館に遠征する身としては、こういう地域色の出た展示はとても楽しいです。

熱水噴出孔の化学合成生態系生物たち

我々生物は、基本的には植物が太陽光から光合成によって生み出したエネルギーから成り立つ生態系=光合成生態系で生きているわけですが、光の届かない深海底では、これとは異なる「化学合成生態系」が成り立っている場所がある、というのは有名な話。

深海底に存在する熱水噴出孔で発生する硫化水素などを元にエネルギーを生み出す化学合成細菌から成り立つ化学合成生態系に生きる生物の標本たちも多数展示されていました。

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サツマハオリムシ(左)と、ゴエモンコシオリエビ(右)。サツマハオリムシは、硫化水素合成細菌を体内に共生させ、その細菌からエネルギーを得て生きているらしいです。ゴエモンコシオリエビは、自分の腕の毛に化学合成細菌を住まわせて、その細菌を食べて生きているらしいです。

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グソクムシと並ぶ深海生物のアイドル、スケーリーフット。硫化鉄でできた鱗で足の部分を覆っているというかっこいい貝。

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ユノハナガニ(左)と、シロウリガイ(右)。ユノハナガニは、ハオリムシなんかを捕食して生きているそうです。化学合成生態系における上位捕食者になるんですかね。シロウリガイは、ハオリムシと同じく体内に硫化水素合成細菌を共生させ、細菌の生み出すエネルギーで生きている貝。完全に細菌からのエネルギーに依存しているようで、口器のような摂食器官や、消化器官は退化してなくなっているらしいです。

我々の生態系とは異なる生物たちの生態はほんと興味深い。

個人的目玉展示! 多数のプラスティック封入標本たち!

水棲生物の標本というと、大抵、薬液に漬けられた瓶入りの液浸標本か、剥製標本が中心かと思います。液浸標本は、薬液が色素を溶かしてしまって標本は色褪せてしまうし、剥製標本は外皮に塗る薬剤などの影響でどぎつい色になっちゃうので、どちらもどうしても生きたままの姿からは少しかけ離れた姿になってしまうのが残念なところ。

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そこで最近注目されているのが、このプラスティック封入標本というものだそうです。文字通り、プラスティックの中に標本を封入しちゃうんですが、これがほんとに活き活きとした色をしていて凄い。

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ゴマフイカ。黒い斑点は発光器だそうです。

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クモヒトデの一種。こんな活き活きとしたクモヒトデの標本初めて観た!

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ウミエラ(左)と、オカダシンカイコシオリエビ(右)。ウミエラは一見植物っぽくも見えるけど、サンゴやイソギンチャクと同じ刺胞動物の仲間。コシオリエビは「エビ」とついているけど、エビではなくヤドカリに近いグループ。ハサミを除くと脚が三対六本だけというのが特徴。

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ヒラアシクモガニ(左)と、ハリセンボンの一種(右)。クモガニはクモではなくカニ。足が長くてクモっぽいからこういうネーミングなんでしょうかね。ハリセンボンは、フグの仲間で威嚇時に体を膨らませて体中に針を出すアレではなく、カニ。クモガニと近い仲間らしいです。体にトゲがいっぱい生えてるからこういうネーミングなんですかね。

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レプトケファルス。レプトケファルスとは、ウナギやアナゴなど一部の魚類の幼生のことで、平たくて細長くて体が半透明なのが特徴。この標本はなんの魚のレプトケファルスなのかは不明とのこと。顔の小ささと、異様に平べったくてでかい体のアンバランスさが魅力的。

他にも沢山の活き活きとしたプラスティック封入標本が展示されていて、見どころたっぷりでした。ほんとにいいなあ。管理も楽そうだし、個人的にも欲しいくらいです......。

しんかい6500の模型も

有人深海調査船「しんかい6500」の1/2スケール模型も展示されていました。

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しんかい6500は、国立科学博物館の特別展『深海』では原寸大模型が展示されているので、それに比べると迫力では劣りますが、こちらの展示では右の写真のように中の構造がわかるところが嬉しい。

他にも、ダイオウイカの実物大模型をはじめ、多数の標本が展示されていて楽しい特別展でした。

公式情報

公式サイト
http://shinkai-tanken.jp/
住所
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄二丁目17番1号 芸術と科学の杜・白川公園内
TEL
052-201-4486

アクセス

名古屋市営地下鉄「伏見」駅下車、徒歩7分程度。

伏見駅へは、名古屋駅から地下鉄東山線で3分程。

その他

コインロッカーあり。ロッカーの番号が元素記号になっていて萌える。

館内にレストランあり。ただし、一度科学館から出ないとレストランには行けない模様。また、市街地なので周辺にも飲食店はあると思う。

特別展は再入場不可。

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