- 第一回レポ:極上の保存状態の化石を凄まじい物量で魅せる特別展『発掘!モンゴル恐竜化石展』
- 第二回レポ:ゴビの多様な発掘地から見つかる極上の化石を大量展示。特別展『発掘!モンゴル恐竜化石展』その2
展示標本の95%以上が実物化石というとんでもない特別展!
現在、大阪市立自然史博物館で開催中の特別展『発掘!モンゴル恐竜化石展』の内覧会に行ったきた際のレポートです。何だかんだでかなり遅くなっちゃいましたが......。
200点ほどの展示標本のうち、レプリカが13点、あとは全て実物化石という、とんでもない展示でした。しかも、モンゴルで発掘される化石というのは非常に保存状態が良いものが多いことでも有名なので、美しい化石の数々を観ることができます。もともとの保存状態が良い上に、クリーニング(化石から余計な石を取り除くこと)も凄まじく丁寧に施されていて「化石というよりもこれ普通に化石化していない骨なんじゃないの!?」っていうレベルのものまで大量に。
タルボ!タルボ!!タルボ!!!
今回の特別展はもう全てが見どころと言っても過言ではないくらい、凄い化石がいっぱい展示されているんですが、とりあえずはわかりやすいところでまずは三種類ほど展示されているタルボサウルスの標本を紹介。
これは最近見つかった、タルボサウルスの幼体の産状(化石が産出された状態)のレプリカ。凄く綺麗な保存状態だったんだなということがよくわかります。ほとんどの骨がそのまま残っていますね。レプリカとはいえとても貴重な標本です。
で、こちらはその仔タルボサウルスの化石をきちんとクリーニングした実物の化石。産状の方を先に見て「レプリカでもこれはほんとすげーわ......」と感動していたら、すぐ横に、それぞれの実骨がきちんとクリーニングされた状態で展示されていて思わずふきましたw
頭骨が可愛すぎて辛い......。肋骨とかも一本一本綺麗に取り出してあって凄いですね。
こちらは大人のタルボサウルスの全身骨格標本。がっちり全身の骨が組まれていますが、これも実物化石で組んでます。すげえw
頭骨だけ、下に別途展示してあったので、組んである方の標本は頭骨だけはレプリカかも。頭骨は非常に重いので(化石化してる=まんま石ですから)、実物化石で全身骨格を組む時でも、頭骨だけは石よりも軽い素材で作ったレプリカを使用することが多いらしいです。
全身を補強のためにがっちり鉄骨とかで固めているところが、物々しさと、実物化石で全身骨格を組むことの大変さを物語っています。
こちらもタルボサウルスの全身骨格。これはレプリカですが、珍しい伏せた体勢での復元です。
今年の春に大阪大学総合学術博物館の特別展『恐竜とワニの世界』で展示され、夏には北九州市立いのちのたび博物館の特別展『対決!恐竜展』でも展示されていたのをそれぞれ複数回見たので、個人的にはちょっと見飽きた感はありますがw、どこかで常設で展示されている標本というわけではないので、今回の次はいつどこで見られるかわからないので、再度見られて嬉しかったです。
他にも実物化石を組んだ全身骨格標本が沢山
タルボサウルス以外にも、実物化石を組んだ全身骨格標本が大量に展示されています。その中からいくつか派手なのをご紹介。
これはサウロロフスの全身骨格。先ほどのタルボサウルスの全身骨格の向かいに展示されています。
こちらも頭骨だけはレプリカでしょうか。左下に置いてあるのが、頭骨の実物化石ですかね。
ちなみに、このサウロロフスと先ほどのタルボサウルスの全身骨格は多分、どちらも福井県立恐竜博物館に展示されているレプリカのご本人ですよね。
こちらは曲竜類サイカニア。この標本のレプリカも、阪大博物館と北九州の特別展でそれぞれ見ることができましたが、まさか実物化石の方まで見られることになるとは。
サイカニア自体、あまりどこでも展示されていないレアな標本なのに、今年は何度も見られた上にご本人にまでお会いできるとは感動もひとしおですw
保存状態の良さを見事に伝えてくれる標本たち
組み上げた全身骨格標本以外にも、モンゴル・ゴビ砂漠で発掘される化石の保存状態がどれだけ凄いのかを、ひしひしと伝えてくれる標本が盛りだくさんです。
プロトケラトプスの幼体が15体もまとまって化石になっている標本。もちろん実物化石(なんて贅沢な言い回し......ッ!)。
もともと幼体は骨が脆いので化石に残りにくいと思うんですが、細い肋骨なんかも見事に残っていますね......。
こういうとんでもない化石が発見されることで、恐竜は子育てをしていただろう、なんてこともわかってくるわけですね。
こちらはヴェロキラプトルの頭部を除くほぼ全身。前肢も後肢も、爪の先まで綺麗に残ってますね。骨盤と大腿骨がどのように関節していたのかとかも、わかりやすく残っています。ちなみに頭骨も今回は展示されていないだけで、ほぼ完全な状態で見つかっているそうです。凄いね。いやもうほんと凄いね。
この標本のさらに凄いところは、お腹の中に翼竜の骨が残っているところ。要するに、食べたご飯が胃の中に残ったまま化石になってるわけですね。なんだそれ。凄すぎるだろ。こちらももちろん実物化石(なんて贅沢な言い回し......ッ!)。
ピナコサウルスという曲竜類の幼体。お腹をむけて仰向けにひっくり返っている状態です。お腹の上で足を曲げて化石化しているのがよくわかると思います。
ピナコサウルスの標本は多分はじめて見たんですが、今回の展示では、この標本以外にも三つか四つくらい、状態の良いピナコサウルスの化石が展示されていて凄いです。なんかさっきから「凄い」しか言ってませんね。すいません。だって凄いんだもん。あ、これももちろん実物化石(なんて贅沢な言い回し......ッ!)。
新生代の絶滅哺乳類化石も凄い
モンゴルのゴビ砂漠というと、中生代の恐竜化石がよく採れるところ、というイメージがありましたが、ホエルザンという地域では、もう少し新しい新生代始新世後期(3,500万年前くらい?)の地層があり、絶滅哺乳類の化石もたくさん見つかっているようです。
現在では植物食の哺乳類と言えば偶蹄類が主流ですが、当時は「植物食動物といえば奇蹄類」というほど奇蹄類が繁栄していたようで(現生ではウマ、サイ、バクしかいない)、多様な奇蹄類の頭骨を中心に展示されています。
良質な標本の圧倒的物量に頭がパンクするw
他にも紹介したい標本は山のようにあるんですが、内覧会の限られた時間では、全てをじっくり見て消化することができなかったですw
会期が来年の六月までと非常に長いので、何度も朝から観に行って、じっくりと消化したいなあ、と思わせる展示でした。
ちなみに、特別展のミュージアムショップでは、古生物復元模型作家の徳川さんが造形を担当されたタルボサウルスのフィギュアが会場限定で販売されていますよ。今回の特別展で展示されているタルボサウルスの骨格をベースにして復元されたとのことです。口の奥に気道の穴まできちんと開ける細部へのこだわりっぷり!
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アクセス
地下鉄御堂筋線「長居」駅下車徒歩8分程度。駅を出るとすぐ長居公園があり、博物館まで公園内を案内に沿って進めば良いので、迷うことはないかと。
長居駅へは、大阪梅田から地下鉄御堂筋線で20分強。
その他
コインロッカーは、特別展の会場である「花と緑と自然の情報センター」、博物館本館内ともにあり。
食事は、博物館本館に隣接した「花と緑と自然の情報センター」に喫茶コーナーあり。
市街地内なので、長居駅近辺にも飲食店はそこそこある。
特別展は再入場不可。
公式情報
- 公式サイト
- http://gobidinosaur.com/
- 住所
- 〒546-0034
大阪市東住吉区長居公園1-23 - TEL
- 06-6697-6221