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海と命をめぐる公開講演会「共生 海洋生物の知られざる相互関係」に行ってきたよ

2013.02.22 03:58
カテゴリ:特別展・企画展・イベントレポート

神奈川県立生命の星・地球博物館で2013年2月9日に開催された、JAMSTECとの共催講演会「共生 海洋生物の知られざる相互関係」を聞いてきた話。

魚の共生についての話や、化学合成生態系に生きる二枚貝と化学合成細菌との共生の話など、面白い話が聞けた。

海と命をめぐる公開講演会「共生 海洋生物の知られざる相互関係」に行ってきたよ
 

神奈川県立生命の星・地球博物館とJAMSTEC共催の講演会「共生 海洋生物の知られざる相互関係」に行ってきた

神奈川県立生命の星・地球博物館で2/9に開催された、JAMSTEC(海洋研究開発機構)との共催の講演会「共生 海洋生物の知られざる相互関係」を聞いてきました。

「共生」をテーマに、海洋生物の生態について、色々と面白い話が聞けた良い講演会でした。

第一部:生物の共生――海の魚を例にして

まず第一部は、神奈川県立生命の星・地球博物館の専門学芸員、瀬能宏さんによる、海の魚の共生についてのお話。

生物の共生には「相利共生」、「片利共生」、「寄生」の三種類があるよ、という基本的な話から、具体的な魚同士、あるいは魚と他の生物との共生の例などを、豊富な写真資料と共に紹介してくださりました。

魚が自分の縄張りを守ることで、自分の縄張り内の藻類を他の魚に食べられるのを阻止し、ある種「縄張り内で藻類を栽培している」とも言える状態も、魚と藻類の共生と言えるのではないかという話なんかが興味深かったです。

また、魚の共生と言えば非常にメジャーな、ハゼとテッポウエビの共生の例も、豊富に紹介されていました。

今回の講演とは直接関係ありませんが、テッポウエビと言えば、海綿の中にコロニーを構築するアリのような真社会性のエビも存在するということで、真社会性動物好きとしては外せない生物でもあります。そう言った真社会性の種もいれば、ハゼと共生し、素を共有する種もいるということで、テッポウエビってかなり社会性の強いグループなんでしょうかね。面白い。

また、スライドで紹介された魚たちの写真も、ごく当たり前のように紹介されていましたが、どれもきっと貴重な写真なんだろうなーと思いながら見ていました。海中で撮るだけでも大変そうなのに、まさに決定的瞬間といえるような写真が沢山あって凄かったです。

第二部:深海に住む二枚貝と微生物の共生――食べ物を食べなくても生きてゆける生活

続いて第二部は、JAMSTECの主任研究員、吉田尊雄さんによる、深海に住むシロウリガイという二枚貝のお話。

一般的な光合成ではなく、深海から噴出する硫化水素がベースとなるいわゆる「化学合成生態系」に属する貝についての話です。

深海では、太陽光+二酸化炭素ではなく、硫化水素+二酸化炭素を元にして栄養を作り出す微生物が一次生産者として存在し、それを元に独自の生態系が構築されている、ということは知られているものの、具体的にその微生物と、その他の従属栄養生物がどのように共生しているのかは、まだよくわかっていないのだとか。

今回の話の主役のシロウリガイも、体内に硫化水素から栄養を作り出す微生物が住んでいて、彼らの作り出す栄養だけで生活しているんそうです。つまり貝自身は食事はしない、というか摂食や消化のための器官は退化してしまっているらしいです。

じゃあ、実際にシロウリガイの体内のどこでどのように共生細菌が栄養を作り出し、シロウリガイはどのようにしてその栄養を摂取しているのか。その研究が今回のお話のメインでした。

あまり具体的な内容をここで書いちゃうとマズい気がするので、ざっくりとした感想だけ述べておくと、何というか、すんげーアツいな!と思いました。仮説を立てて検証し、新たな発見があり、それを元にまた仮説を立てて検証、という流れが聞いていて非常に面白かった。

まだシロウリガイと共生細菌との関係は、解明の途中段階のようですが、これからどんどん新たな発見がありそうで楽しみだなと思いました。

古生物好きとしては、深海の化学合成細菌と言えば「もしかしたら生命の起源はこのような微生物かも」というあたりの説もあって、非常に興味のある分野なので楽しく聞けました。

たまたま関東遠征に向かう日に、この講演が重なったので「せっかくだから」という感じで聞いてみた講演会でしたが、参加してとても良かったなと思います。最近は深海ネタがアツいですねー。

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