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酸素濃度の変化から生物の進化史を紐解く。書評『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』

2013.01.05 23:11
カテゴリ:読書・書評

ピーター・D・ウォード著。

各地質年代における酸素濃度の変化が、大量絶滅や生物の進化の大きなカギになってきた、という仮説を元に、説得力ある推論を重ねる面白い本。

酸素濃度の変化から生物の進化史を紐解く。書評『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』
 

「絶滅も進化も酸素濃度が決めた」

「絶滅も進化も酸素濃度が決めた」とは本書のサブタイトルですが、まさにこれがテーマとなる本。

各地質年代における大気中の酸素濃度の変化が、生物の大量絶滅や、大きな進化のカギとなってきた、という仮説を展開しています。

目次は以下のような感じ。

最初タイトルだけを見て、恐竜と鳥類に特化した本なんだと思って読んだんだけど、むしろ恐竜と鳥類に関する記述は第9~10章以外はほとんど出て来ず、カンブリア紀以降の生命の進化史を、「酸素濃度の変化と、それに対応する(あるいはできなかった)生物たちの歴史」として再考してみる、というのが本書のメイン。

生物の進化に関しては、捕食/被食の関係から考察されるケースというのは非常に多い印象がありますが、よく考えれば生物にとって「食」よりももっと重要で基本的な要素は「呼吸」なんですよね。その割には「呼吸」あるいは「酸素濃度」という観点から生物の進化を考察した本というのは今まで読んだことがなかったので、非常に新鮮でした。むしろなんで今までなかったんだろう? 各地質年代の酸素濃度を推測する術がなかったからかな?

デボン紀~石炭紀あたりの脊椎動物の上陸は数千万年の空白を挟み、大きく分けて二回起こっていて、一度目に上陸したタイプの生物はすぐに(地質年代的な意味で)絶滅してしまい、その後に上陸した生物たちが成功をおさめたという説なんかははじめて知りました。

また、パンゲア大陸は一つの大陸なので、隔離による種分化が起こりにくそうだろうなという印象を持っていましたが、当時は酸素濃度がかなり低かったため、ちょっとした標高差でも途端に呼吸ができなくなってしまい、巨大な山脈などなくても小高い丘程度でも充分に隔離による種分化を起こす要因になっただろうという説も、なるほど、と。

他にも、とにかく素人的には今まであまり目にしなかった説がてんこ盛りで面白い内容でした。

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